神戸地方裁判所 平成3年(わ)396号・平3年(わ)503号
主文
被告人を懲役1年6月以上3年以下に処する。
未決勾留日数中60日を右刑に算入する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、少年であるが、
第一A(当時17歳)と共謀の上、
一 平成3年4月16日午後10時40分ころ、神戸市○○区○○町○○××番地の×付近路上において、電話中のB(当時22歳)を認めるや、同人が自らを避けて逃げ回り前回も逃げられたことから、この際同人を痛めつけ、懲らしめようと決意して後方から近づき、いきなり被告人が同人の右腕を掴んで「お前ヤクザなめとんのか」と怒号するとともに交々手拳で同人の顔面を殴打し、よって、同人に対し、団体の威力を示し、かつ数人共同して暴行を加えた。
二 前記BがCに対し借金のあることを聞知したことからこれを奇貨としてこれに因縁をつけて金員を喝取しようと企て、同日午後10時50分ころ、同市○○区○○町○○××番地の×先空地に右Bの両腕を抱え込んで連れ込み、同所において、同人を正座させ、被告人がその顔面を手拳で数回殴打するなどの暴行を加えた上、「どこかで金都合せいや。サラ金で借りてでも27万円払え。サラ金連れて行ってやろか。今ドス持っとらんけど刺してしまうぞ」などと怒号して金員を要求し、右要求に応じなければさらに生命、身体等にいかなる危害を加えるかも知れない気勢を示して暴行脅迫を加え畏怖させ、もって、金員を喝取しようとしたが、右Bが警察に届け出たためその目的を遂げなかった。
第二同月17日午前零時25分ころ、同市○○区○○×丁目××番×号先路上において、前記Bを乗車させて連れ回していた普通乗用自動車が信号待ちのため停車した機会をとらえて同人が逃げ出そうとしたことに激高し、同車内において、車外に逃げ出そうとした同人に対し、直前に購入した果物ナイフでその左大腿部に切りつけ、よって、同人に対し、全治14日間を要する左大腿切創の傷害を負わせた。
第三A、D(当時17歳)の両名と共謀の上、通行人に因縁をつけて金品を喝取しようと企て、同年5月25日午前11時35分ころ、同市○○区○○×丁目×番××号先路上において、同所を通行中のE(当時21歳)、F(当時22歳)の両名を認めるや、被告人ら3名で右Eら両名を取り囲み、「わしの顔に何か付いとんのか。ごちゃごちゃ言うとらんと、おとなしくついてこんと刺すぞ」などと申し向けて脅迫し、同人らを同所から同区○○××番×号所在の○○方勝手口前路地に連れ込んだ上、同所において、同人らに所携のナイフを突きつけて「金出せや。はよう出さんと刺すぞ」などと語気鋭く申し向けて金員を要求し、右要求に応じなければ、生命、身体等にいかなる危害を加えるかも知れない気勢を示して脅迫を加えて畏怖させ、よって、
一 即時同所において、右E及び同Fからそれぞれ現金五万円を
二 同日午前11時58分ころ、同区○○町×丁目×番×号所在の○○2階のクレジットカード等現金自動貸付機前において、右Fから現金20万円を
三 同日午後零時30分ころ、同市○○区○○×丁目×番××号所在の○○質店において、右Fからブレスレットー本(時価9万5000円相当)を
四 同日午後零時45分ころ、同市○○区○○×丁目×番×号所在の○○銀行○○出張所において、右Eから現金5万円を
五 同日午後零時45分ころ、同市○○区○○×丁目×番××号所在の質店○○において、右Fからネックレスー本(時価11万1000円相当)を
六 同日午後1時15分ころ、同市○○区○○×丁目×番×号所在の質店○○において、右Fからネックレス1本(時価7万7250円相当)をそれぞれ交付させてこれを喝取した
第四同月19日午前零時すぎころ、神戸市○○区○○×丁目×番×号所在の○○内レンタルーム「○○」において、先にA及びDの両名により暴行、脅迫を加えられて金品を喝取され畏怖状態にあるG(当時22歳)を認めるや、右Aらと共に更に右Gから金品を喝取しようと企て、前記A及びDの両名と共謀の上、被告人において右Gに対し「逃げたら家の前で張っといて刺すぞ」などと更に脅迫を加え、その生命、身体等に更に危害を加えるような気勢を示して同人を畏怖困惑させ、よって、同人から
一 同日午前10時5分ころ、同市同区○○町×丁目×番×号○○1階便所付近で同人から現金20万円を
二 同日午前11時15分ころ、同市同区○○町×丁目×番×の××号○○において、同人からジャンパー2着のほか2点(時価合計約5万3240円相当)を
三 同日午後零時すぎころ、同市同区○○×丁目××番××号株式会社○○本店において、同人からジーパン3本(時価合計約6万2830円相当)を
四 同日午後1時ころ、同市同区○○町×丁目×番×の××号○○において、靴下3足ほか2点(時価合計約8万6829円相当)を
五 同日午後1時30分ころ、同市同区○○町××番地○○神戸店において、同人からライター2個ほか1点(時価合計約2万4205円相当)を
それぞれ交付させて喝取した
第五前記A、同Dと共謀の上、通行人に因縁をつけて金品を喝取しようと企て、同月21日午後6時50分ころ、同市同区○○×丁目×番×号所在の株式会社○○東側路上において、同所を通行中のH(当時18歳)、I(当時18歳)の両名を認めるや、同人らに「俺の顔に何かついとんかい」と因縁をつけ、いきなり右Hの顔面を手拳で殴打するなどの暴行を加え、同人らを同市同区○○町×番所在の○○公園に連行した上、同所において、同人らに対し「持ち物全部出せ」などと語気鋭く申し向けて金品の交付を要求し、もしその要求に応じなければ更に生命、身体等にいかなる危害を加えるかもしれない気勢を示して脅迫して畏怖させ、よって、
一 即時同所において、右Hから現金3万円を、同Iから現金6000円を
二 同月22日午前9時35分ころ、同市同区○○町×丁目×番×号所在の○○信用金庫○○支店南側路上において、右Hから現金29万円を
それぞれ交付させてこれを喝取した
ものである。
(証拠の標目)
判示全事実につき
一 被告人の当公判廷における供述
判示冒頭の事実につき
一 神戸市兵庫区長作成の戸籍謄本
判示第一及び第二の各事実につき
一 Bの検察官、司法警察員及び司法巡査(2通)に対する各供述調書
一 被告人の検察官(平成3年6月4日付)及び司法警察員(同月1日付及び同月3日付)に対する各供述調書
一 司法警察員作成の同年5月28日付実況見分調書
判示第一の各事実につき
一 Aの検察官(平成3年6月4日付)及び司法警察員(同月3日付)に対する各供述調書の謄本
一 Cの検察官に対する供述調書
一 被告人の司法警察員に対する同年5月31日付供述調書
判示第二の事実につき
一 Jの司法巡査に対する供述調書
一 司法警察員作成の捜査報告書
一 司法警察員(平成3年5月31日付)及び司法巡査作成の各写真撮影報告書
一 医師○○作成の診断書
判示第三の事実につき
一 Fの司法警察員(2通)及び司法巡査(謄本)に対する各供述調書
一 Eの検察官及び司法警察員に対する各供述調書
一 K、L及びMの司法巡査に対する各供述調書
一 Aの検察官(平成3年6月20日付)及び司法警察員(同月13日付及び同月14日付)に対する各供述調書の謄本
一 Dの司法警察員に対する同月4日付及び同月5日付各供述調書の謄本
一 被告人の検察官(同月20日付)及び司法警察員(同月13日付、同月14日付、同月17日付及び同月18日付)に対する各供述調書
一 司法警察員作成の同月17日付、同月18日付及び同月25日付各実況見分調書
一 司法警察員作成の同月5日付写真撮影報告書の謄本(検24号)
判示第四及び第五の各事実につき
一 被告人の検察官に対する平成3年7月22日付供述調書
一 司法警察員作成の同年8月1日付実況見分調書
判示第四の事実につき
一 Gの検察官及び司法警察員(4通)に対する各供述調書
一 Aの司法警察員に対する平成3年8月6日付及び同月7日付各供述調書の謄本
一 Dの司法警察員に対する同年7月16日付及び同月17日付各供述調書の謄本
一 被告人の司法警察員に対する同月17日付及び同月18日付各供述調書
一 ○○株式会社関西本社管理部次長○○作成の捜査関係事項回答書
判示第五の事実につき
一 Hの検察官及び司法警察員(3通)に対する各供述調書
一 Iの検察官及び司法警察員に対する各供述調書
一 Aの司法警察員に対する平成3年8月8日付及び同月9日付各供述調書の謄本
一 Dの司法警察員に対する同年7月18日付及び同月19日付各供述調書の謄本
一 被告人の司法警察員に対する同月19日付及び同月20日付各供述調書
(法令の適用)
被告人の判示第一の一の所為は包括して行為時においては刑法60条、平成3年法律第31号による改正前の暴力行為等処罰に関する法律1条(刑法208条)、同改正前の罰金等臨時措置法3条1項2号に、裁判時においては刑法60条、暴力行為等処罰に関する法律1条(刑法208条)に該当するが、右は犯罪後の法令により刑の変更があったときに当たるから刑法6条、10条により軽い行為時法の刑によることとし、判示第一の2の所為は同法60条、250条、249条1項に該当し、判示第二の所為は行為時においては平成3年法律第31号による改正前の刑法204条、同改正前の罰金等臨時措置法3条1項1号に、裁判時においては刑法204条に該当するが、右は犯罪後の法令により刑の変更があったときに当たるから刑法6条、10条により軽い行為時法の刑によることとし、判示第三の所為中E及びFに対する各恐喝の点、判示第四の所為並びに判示第五の所為中H及びIに対する各恐喝の点はいずれも刑法60条、249条1項に該当するが、判示第三及び第五はいずれも1個の行為で2個の罪名に触れる場合であるから同法54条1項前段、10条により一罪としてそれぞれ犯情の重いF及びHに対する各恐喝罪の刑で処断することとし、判示第一の一及び第二の各罪につき各所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は同法45条前段の併合罪であるから、同法47条本文、10条により刑及び犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、少年法52条1項により、被告人を懲役1年6月以上3年以下に処し、同法21条を適用して未決勾留日数中60日を右刑に算入することとし、訴訟費用は、刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。
よって、主文のとおり判決する。